倒錯思索ステイルメイト

愚問愚答観察。

AC(12/25):ディス・アドベントカレンダー

こんばんは。今日は12/25、クリスマスということでアドカレ最終日です!(イブまでだった気がしなくもない)

 

25日間で投稿した記事はこれを含めて、、

 

8つ

 

最終的に3日に1本ペースになりましたね...。まぁこんなもんでしょう。

文字数的に見ると、

 

ということで計22128文字、1日あたり原稿用紙2枚くらい書いていたらしいです。遅筆かな?

 

さて、そんなアドカレの最終回ですがコトバの話をしようと思います。

 

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【言葉】

①アマテラス以来の祭具。

②使えない武器

丹生秋彦『言霊のハルモニア』より。

 

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小学校に行くまでに耳に馴染まされたのだからそれが僕にとっての【標準語】だったのですが、年を重ね外界の言語に触れるにつれて『セカラシカ』や『バチカブル』が一般には通じない謎の単語であるということを理解するようになりました。

 

以下の例文を見てください。小学生の男の子とそのお母さんが会話しています。

「ヨッッッッソ!!ド~キャイッテキテンネ、セ~~~カラシカッ、ハヨツンブラッテ!」

「○○くんちのヤマ。ヒミツキチンゴタトバシヨット!カエリスベッテコケタッサ」

「イランコツシチ・バチカブルッタイ」

「ソガンコツナカッテ、ムシモトルッバイ」

「ヨッッッソ!!!コンカゴハダイントネ?」

「△△くん、カリテヨカッテ」

「ホォ~ン。マ・ハヨハイランネフロニ」

全文翻訳できたら北部九州人、それも長崎佐賀寄りの人で間違いないと思います。こうしてカタカナに起こしてみると僕ですら「何を言っているんだ...?」という気持ちになってきますが答え合わせをしてみましょう。

「きっったな!!どこに行ってきたの、手のかかる子ね!はやく(泥を)はたいて!」

「○○くんの家の山。秘密基地ごっこをしてるんだよ!帰り道に滑ってこけちゃった」

「いらんことするから罰があたるのよ」

「そんなことないって、虫も取るんだよ」

「きっっっったな!!!この虫カゴは誰のなの?」

「△△くん、借りていいって」

「ほ~~ん。ま、早く風呂入ってきなさい」

流石に別言語と言わざるを得ない。こんなんでも同じ日本語のカテゴリでくくられるから不思議ですよね。スラングなんかも年々いろんな流行があってその時々の時代を見ていなければマジで意味が分からない言葉の数々が世に蔓延っているように思います*1

そんなこんなで最近僕は自分が使っている言語すら何語なのか分かりません。国籍を与えるなら日本なんですけど、九州弁はおろか標準語からも逸脱しておりそれは本当に正しい日本語?って考えたりして。そもそも正しい言語って何?言葉ってのは話されているモノが正義を纏います。標準語だってある地方で話されていた言語を適当に採用したにすぎず、それが【正しい】言語かどうかなんて分かるはずもありません。

誰かに誤用だと言われていた言葉の使い方ですら、万人が誤用していたらいつの間にか正しい使い方だと言われるようになっています。これは結構おぞましいことで、大抵の物事の変化を諸行無常で済ませる僕も少し恐怖を感じるところです*2。例えば遠い未来に今の時代の文献が読まれたときにその文意が発言者の意図の通り正しく解釈される可能性ってかなり低いように思えるんです。僕たちが古典を学んだ時のようにたくさん資料を読めば帰納的に文法の推論はできるでしょう*3が、言葉の不安定なところはまさに『言葉からしか学べない』という点です。

「『言葉にできない』という言葉すら、言葉でしか言えない」

要は『言語Xの新要素』を『今まで解析した言語Xの要素』を用いて解析するとき、最初のコトバの地盤はどこから出てくるの?って話です。結論から言うと言語の変遷も連続的なので今現在自分が使っている言葉を出発点にして遡及する方針を取るのですが、その初期点自体を不安視しているためにすべての時代のすべての言葉が分からなくなっているのが今の僕というわけです*4。得体の知れない言葉による表現を見聞きして剰えこうして自ら書きしたためているのは暗がりに鬼を繋ぐような思いですが、繰り返す通りこういったことすら言葉を介さないことにはなかなか表現できない八方塞がりの呪いがコトバという祭具には掛けられています。

 

今日も冗長駄文をつらつら書きましたが僕は古典の時代から含めて日本語のもつ詩的で繊細な表現をひどく気に入っています*5*6。この先意味の分からない言葉にたくさん出会うだろうし逆に風化する言葉も見送ることでしょう。周りの変化に従って気づかぬ間に自分の使う言葉も変わっていくのは空恐ろしいものがありますがその変化も楽しめるようにこれからも言葉の記録を綴っていこうと思います。

 

読了ありがとうございました。メリークリスマス。

 

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*1:例えば最近名古屋のオタクは「OK」を「ムベンベ~」とか「モケーレ」とかで表すって聞いて転げまわりました。暗号でしょ。

*2:先述の通り言語に正当性が存在するのかすら疑っているのですが、もっとシンプルに間違いだとされていた言葉が次の日には正しいと言われるようになっている朝令暮改が自分の目と鼻の先というか口と耳の中で横行しているのが不気味。

*3:0から帰納的に文法をマスターした猛者(実質シャンポリオンでは?)がいるかは知りませんが習熟の過程は帰納だったはずです(僕はそうでした)。

*4:例えば現代フランス語とか。

*5:このブログは淡泊で軽薄な表現しかなくて日本語のポテンシャルを殺してるけど。

*6:行間文化なんかは客観的には短所多めの一長一短だと感じます。