倒錯思索ステイルメイト

愚問愚答観察。

AC(12/25):ディス・アドベントカレンダー

こんばんは。今日は12/25、クリスマスということでアドカレ最終日です!(イブまでだった気がしなくもない)

 

25日間で投稿した記事はこれを含めて、、

 

8つ

 

最終的に3日に1本ペースになりましたね...。まぁこんなもんでしょう。

文字数的に見ると、

 

ということで計22128文字、1日あたり原稿用紙2枚くらい書いていたらしいです。遅筆かな?

 

さて、そんなアドカレの最終回ですがコトバの話をしようと思います。

 

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【言葉】

①アマテラス以来の祭具。

②使えない武器

丹生秋彦『言霊のハルモニア』より。

 

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小学校に行くまでに耳に馴染まされたのだからそれが僕にとっての【標準語】だったのですが、年を重ね外界の言語に触れるにつれて『セカラシカ』や『バチカブル』が一般には通じない謎の単語であるということを理解するようになりました。

 

以下の例文を見てください。小学生の男の子とそのお母さんが会話しています。

「ヨッッッッソ!!ド~キャイッテキテンネ、セ~~~カラシカッ、ハヨツンブラッテ!」

「○○くんちのヤマ。ヒミツキチンゴタトバシヨット!カエリスベッテコケタッサ」

「イランコツシチ・バチカブルッタイ」

「ソガンコツナカッテ、ムシモトルッバイ」

「ヨッッッソ!!!コンカゴハダイントネ?」

「△△くん、カリテヨカッテ」

「ホォ~ン。マ・ハヨハイランネフロニ」

全文翻訳できたら北部九州人、それも長崎佐賀寄りの人で間違いないと思います。こうしてカタカナに起こしてみると僕ですら「何を言っているんだ...?」という気持ちになってきますが答え合わせをしてみましょう。

「きっったな!!どこに行ってきたの、手のかかる子ね!はやく(泥を)はたいて!」

「○○くんの家の山。秘密基地ごっこをしてるんだよ!帰り道に滑ってこけちゃった」

「いらんことするから罰があたるのよ」

「そんなことないって、虫も取るんだよ」

「きっっっったな!!!この虫カゴは誰のなの?」

「△△くん、借りていいって」

「ほ~~ん。ま、早く風呂入ってきなさい」

流石に別言語と言わざるを得ない。こんなんでも同じ日本語のカテゴリでくくられるから不思議ですよね。スラングなんかも年々いろんな流行があってその時々の時代を見ていなければマジで意味が分からない言葉の数々が世に蔓延っているように思います*1

そんなこんなで最近僕は自分が使っている言語すら何語なのか分かりません。国籍を与えるなら日本なんですけど、九州弁はおろか標準語からも逸脱しておりそれは本当に正しい日本語?って考えたりして。そもそも正しい言語って何?言葉ってのは話されているモノが正義を纏います。標準語だってある地方で話されていた言語を適当に採用したにすぎず、それが【正しい】言語かどうかなんて分かるはずもありません。

誰かに誤用だと言われていた言葉の使い方ですら、万人が誤用していたらいつの間にか正しい使い方だと言われるようになっています。これは結構おぞましいことで、大抵の物事の変化を諸行無常で済ませる僕も少し恐怖を感じるところです*2。例えば遠い未来に今の時代の文献が読まれたときにその文意が発言者の意図の通り正しく解釈される可能性ってかなり低いように思えるんです。僕たちが古典を学んだ時のようにたくさん資料を読めば帰納的に文法の推論はできるでしょう*3が、言葉の不安定なところはまさに『言葉からしか学べない』という点です。

「『言葉にできない』という言葉すら、言葉でしか言えない」

要は『言語Xの新要素』を『今まで解析した言語Xの要素』を用いて解析するとき、最初のコトバの地盤はどこから出てくるの?って話です。結論から言うと言語の変遷も連続的なので今現在自分が使っている言葉を出発点にして遡及する方針を取るのですが、その初期点自体を不安視しているためにすべての時代のすべての言葉が分からなくなっているのが今の僕というわけです*4。得体の知れない言葉による表現を見聞きして剰えこうして自ら書きしたためているのは暗がりに鬼を繋ぐような思いですが、繰り返す通りこういったことすら言葉を介さないことにはなかなか表現できない八方塞がりの呪いがコトバという祭具には掛けられています。

 

今日も冗長駄文をつらつら書きましたが僕は古典の時代から含めて日本語のもつ詩的で繊細な表現をひどく気に入っています*5*6。この先意味の分からない言葉にたくさん出会うだろうし逆に風化する言葉も見送ることでしょう。周りの変化に従って気づかぬ間に自分の使う言葉も変わっていくのは空恐ろしいものがありますがその変化も楽しめるようにこれからも言葉の記録を綴っていこうと思います。

 

読了ありがとうございました。メリークリスマス。

 

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*1:例えば最近名古屋のオタクは「OK」を「ムベンベ~」とか「モケーレ」とかで表すって聞いて転げまわりました。暗号でしょ。

*2:先述の通り言語に正当性が存在するのかすら疑っているのですが、もっとシンプルに間違いだとされていた言葉が次の日には正しいと言われるようになっている朝令暮改が自分の目と鼻の先というか口と耳の中で横行しているのが不気味。

*3:0から帰納的に文法をマスターした猛者(実質シャンポリオンでは?)がいるかは知りませんが習熟の過程は帰納だったはずです(僕はそうでした)。

*4:例えば現代フランス語とか。

*5:このブログは淡泊で軽薄な表現しかなくて日本語のポテンシャルを殺してるけど。

*6:行間文化なんかは客観的には短所多めの一長一短だと感じます。

AC(12/3):ば~ちゃるこんてすと?にでました。

こんばんは。今日ぶんのアドカレ書いてないことを思い出し(23:22)急いで書いています。書き上げることに注力するので何の面白みもない記事になる点はご容赦ください。そもそも間に合うか怪しい。追記(24:45) 間に合いませんでしたがこれを12/3ぶんとします。

 

ついさっき(23:00)まで競プロのVirtual Contest(過去問を利用した仮想コンテスト)に出てました。こうして仮想コン(通称ばちゃ)に出るのは初めてだったのでボコボコにされるんじゃないかとビビりつつも出題範囲が300点だらけでちょうどよかったのでありがたく参戦することに。

 

コンテスト開始(23:00)

AtCoder Virtual Contest

開始時刻になると待機画面から順位表に遷移。zaki_johoとかいう名前を見て震える。彼は先日東京で行われたマラソン大会で賞金を得たすごい計算機ヤクザです。僕に競プロを勧めてくれた張本人であり、よく競プロ関連の知見もくれるので頭があがりませんが、同時にハラスメントもよく受けます。仲良しです。

zaki-joho.hatenablog.com

他のメンツも計算機ヤクザがさらに2名となっており完全に四面楚歌コースとなっていました*1

とにかく虚無らないようにお祈りしながら問題を見ていきます。

 

前半戦

まずは全部の問題をさらーっと読む。

よっしゃやるかと正方形のチップをやろうとします。先述の通り企業コンで類問を見たことあったのでその方針で何とかならないか考えますがしばらくして全然違うやんけとなり一度解散します。Ordinary Beautyへ移動(21:10)。

O(1)の数学っぽいので睨めばすぐ解けると思って睨むもすぐに解けない。とりあえず(m-1)コの隣接が一様なので美しさの期待値は個々の隣接の美しさの期待値の和でよさそうだ*2というとこまで考え、d=0の時は1/nでOKだとなったけどd!=0で変だったので泥沼にならないように一時撤退。ニコニコレベルへ移動(21:20)。

制約からO(|T|)くらいでなんとかしたい。サンプルから"25"はOKで"52"はダメということなどに気を付けながら愚直に前から見ていくように実装。

  1. Tを前から調べ'2'か'?'を見つける
  2. '2'の後に'5'か'?'が来ていなかったら4へ
  3. '5'の後に'2'か'?'が来ていたらカウンタ++、そうでなければ4へ
  4. 一度"2525..."で連続することを確認したらもう見る必要がないのでカウンタが途切れたところまで1の探索の先頭をスキップさせてから1へ戻る

こんな感じで思い当たり次第条件や処理を書き加えていった結果ゴミのようなコードが完成しました。動かしてみて、2*("25"の数)だけスキップすると先頭の'?'の可変性に対応できていないことに気が付くので探索の先頭の位置の偶奇で場合分けしてそれぞれで同じ処理をするように変更(ほぼコピペすることで量が2倍に。ゴミコードがさらにゴミとなる)。

まぁ理屈は合ってるだろうし通るっしょと投げてAC(21:34)。

 

後半戦

Ordinary Beautyに戻りしばらくしてd!=0の場合の式のガバに気が付きます(なぜかこっちの場合だけ数列の範囲を0~nにしてた)。AC(21:49)。

 

ここから虚無が始まる。

 

ニコニコレベルが通った喜びから正方形のチップではなく2525文字列分解に進んだものの、この選択が明暗を分けることになりました(実際はどうかは知りません)。

サンプルを睨んで

  • '2'と'5'の数が等しくないとダメ
  • 前から見て'2'のストックがない状態で'5'をツモるとダメ

ということが分かったのでとりあえずそれだけ書きます(22:10)。

それから例外ケースでないものについて考えると、

  • 2のストックがある状態で過剰に2をツモると分解数が増えるのではないか
  • 2のストックがありかつ5を連続でツモる場合も分解数が増えるのではないか

という考察から、例外でない場合はmax('2'の最大連続数, '5'の最大連続数)が分解数の最小値だろうと見当をつけます。サンプルもそうだし!!!

ということで実装。O(|s|^2)でも間に合うので最大連続数も愚直に数える。動かしてみるとサンプルと適当に考えた自前サンプルについて正解してくれてニッコリ。これでどうや俺が3完や、見てるか計算機ヤクザ~~~????つって提出。

 

 

 

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ダメです。

 

は?(22:55)

 

 

 

 1つめのWAは2の連続数を見てなかったので2個めのやつで通ると思い連投したけど通らず。何でつってたら終了時刻の23:00が来ていました。

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ペナルティ 10分

スタンディング見てなかったけど終わってみたら他の2人と全然違うの解いてて笑っちゃった。正方形チップやるべきだったっぽい。

とにかくこうしてペナルティ10分*2で実質最下位になってコンテストは終了。何がダメだったんでしょうね。

 

あとOrdinary Beautyは数学ヤクザのmdは絶対解くだろうなと思ってたけど解いてなくて不思議がってたんだけど真相はこうでした。

 なるほど~つって笑ってた。おつかれさまでした。最後に、コンテスト立ててくれたemonosukeありがとう。

 

感想

ちょうどいい難易度で楽しかったです。またバチャやりたいけど今日参加してたメンツはわりとshojinで過去問埋めてるからメイツになりえなさそうで悲しい。

 

さて、、明日は連続体力学のレポート提出日と待ちに待ったフランス語再再再再履の中間試験2回目が待っているので楽しみで夜も眠れません。

 

それでは今日はここまで。また明日。明日は虚無そうだなぁ。

*1:そもそも数理の同期(どこからどこまでが同期かはさておき)で競プロやってる人を1人か2人くらいしか知らない...。

*2:和の期待値is期待値の和

AC(12/1):早く人権を得たい。

こんばんは。京都の朝晩、寒いですね。寒くなかったことがない。

 

急なアレですが今回からはしばらく『アドベントカレンダー』シリーズを書いていきます。去年のことですが周辺のいくつかの界隈において知り合いが『アドベントカレンダー』なる名目で色んな記事を投稿する様子を見てきました。そこで思い立ったが何とやら、今年は自分も書いてみたいと決断したのがつい2, 3日前のことです。暇を持て余した猿の猿真似ですね。

 

アドベントカレンダー(Advent Calendar)

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アドベントカレンダー(本物)

昔、毎年11月下旬に本物のアドカレ(画像みたいなデカめの1枚絵の中から1日ずつ日付の数字の書かれた窓を探して開けていくカラクリボード)を送ってくださる親戚の方がいらっしゃって、クリスマスを待たずそれなりに楽しんでいた記憶があります。個人の感想ですが、子供への効能は割とあるようです。ですがもはやアドカレと聞いても運命の25日へ向け目を輝かせることはありません。"Advent Calendar"の文字をボーっと眺めていると何かが浮かんでくるからです。

 

 

 

 

あっとこーだー(AtCoder)

 

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A C

 

 

AcCepted

ACというとまぁコレが思い浮かびます。今年度、コレになるために何度頭を抱えたか分かりません。始めて半年以上経ってもまだ緑ですが趣味として結構気に入っています。しかし緑レートだと学科のヤクザの友達からは「これは緑の書くコードだね」「緑はね、人権ないよ」などと顔を合わせるたびにハラスメントを受けます。もちろんジョークですが、事実として同期は大体水色や青なので何も言い返すことができません。そうは言っても緑になるまでにも紆余曲折はあったし個人的には不満のない成長速度だと感じています(震)。同期のレート推移見たら「勝てまへん」ってなっちゃうけど素養も環境も努力量も何もかも違うでしょうし、マイペースに頑張ろうと思ってます。

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クソザコレート推移

AtcoderBeginnerContestマクドナルド部

競プロを始めてしばらくの間、具体的には9月くらいまで、僕は石器時代に生きていたのでおうちにWi-Fi環境がありませんでした(本当に情報学科3回生???)。コンテストに出るためには当然ネット環境が必要なのですがコンテスト開催される土曜の夜は頼みの綱である大学の学習室が閉まっているのでどこか他の場所で環境を手に入れる必要がありました。

 

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00_MCD_FREE_WIFI

辿り着いたのは百万遍マクドナルドです。ここの2階は電源もあって23時まで空いているのでコンテストの開催される21:00~22:40の時間帯を良い感じにカバーすることができます。しかし、マクドナルドも万能ではありませんでした。

 

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60分の制限時間

接続から60分経つと強制的に切断され、10分のインターバルを挟まないと再接続することができません。したがって、コンテスト10分前くらいに00_MCD_FREE_WIFIに接続するとおよそ21:50~22:05の間はネットが使えない状況になりsubmitすることができません。その時間帯にコードを書き上げてサンプルも通って「良さそう!」と思っても提出することができないので寝て待つことになります。また、日によってはサーバーの問題か再接続することができなくなることもあってその時はガチの虚無を錬成することになりました。

 

教訓 : マクドナルドでコンテストに参加するのはやめましょう。

 

レートの人権よりもネット環境の人権を整備することのほうが優先度高いということは覚えておくべき事実かもしれません。まぁ情報学科の3回生で下宿にネット開通していなかったの僕くらいしか知らないんですが。

 

Shojin

プロから「やれば?」と言われて始めてみたAtCoderですが、9月くらいまではダラダラ適当にコンテスト参加するだけでした。当然ゴミのようなパフォーマンスしか出ず完全に現場の自分に頑張ってもらうだけの時間だったんですが夏休みにAtCoder Problems を触り始めます。

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精進図(100~300埋め)

暇を見つけては100~200を網羅的にやって、時間あるときには300~400を眺めたりしてました。100~200埋めは緑になるには意外と効果があります。ABCでB問題まで早解きできたら緑パフォ出るので茶色で寝てる人にはオススメというわけです。C問題はmapとか小手先の知識を知っていたら何とかなるものが多いけれど、慣れていないとスヤスヤするケースも多いのでこれからもっと埋めていかなきゃという気持ちです。Cまで早解きできると水色パフォが出るので次はそれを目指したいです。D問題はデータ構造やらDPやらちゃんとした(ちゃんとしたって何?)アルゴリズムの実装ができないと解けないものがほとんどで、必要な考察量もグンと上がります。これも現状ロクに解けていないのでshojinで解けるようにしていきたいです。

 

楽しいのが一番!

競技プログラミング、成績は同期と比べるとからっきしですが、コンテストは普通に楽しいので好きです。いずれは成績が伴うようにしていきたいけどいつになったら水色になれるんでしょうか。早くヤクザたちから人権を認められたいよ。

プロメテウスのThink-Pad

こんにちは。

 

数日前にうちで上映されていた喜劇について、その結末の痛快さに発信衝動を禁じ得なかったためこうして文字を並べています。今回はノンフィクションです。

 

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11-08-20:17(JST)

この日は唯一木曜に入っているコマのアルゴリズム論が休講だったため、目覚ましもかけず午後に起き、雀の涙の足しにもならない程度の労働をしてからデルタ近傍で楽器を吹いてはんなり時間を溶かしていた。「今日も実に怠惰な一日であった」と振り返るころには空の色が妖しく変わりつつあり、秋という季節の評判を落とすには十分に冷たすぎる風がどこからともなく吹きつけはじめていた。その後、雑に誘われた夕食を済ませてから特に寄るところもないので帰宅しすぐに歯磨きをしていたのがこの時刻である。

 

11-08-20:35(JST)

歯磨きを終えてから相も変わらず汚い部屋に戻り何の得も生まないクソデカ溜息をつくと、先週末宇治に足を運んだコンサートにて衝動買いした3枚の音源が枕元に放置されていることに気が付いた。そういえばインポートしてなかったなと思い返し、円盤ドライバを探し始めた。

 

事件の始まりである。

 

家に来たことがある人は大体知っていると思うけれども、僕の部屋は救いようがなく汚い。加えて、先日学生証が消えたとき*1、学生証を探している間にスマホを失くしてしまったことがあったように物を失くす才能まで持ち合わせている。1日1品くらい物が消えたら掃除の手間が省けて楽だろうなと常日頃思っているのだが、生憎と失せ物が増えても物量が減る気配はなく、依然部屋は散らかりっぱなしで物はなくなり放題である。

かくして今回は円盤ドライバがなくなり、掘れども掘れどもその姿を現さない。が、しばらく捜索を続けていると、謎の端末が顔を出した。

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確かにこれは円盤ドライバの類ではあるのだが、僕がこれまで使ってきた端末は本体からUSBケーブルが伸びていた記憶があり、どうにもコレジャナイ感が拭えなかった。じゃぁ発見された端末は何なんだと思いながらも今あるもので何とかしようと思った僕はこれをパソコンにつなぐケーブルを探し始めた。

 

11-08-21:16(JST)

『自分の記憶にある特徴をもつ端末』と、『自分の記憶とは一致しない正体不明の端末とパソコンを繋ぐケーブル』を並行して探しているととりあえず後者が見つかった。とりあえずこれで何とかなるだろうといってエニグマドライバをパソコンに繋ぐ。

 

すると「このUSB端末はこのパソコンからだけじゃ電源が足りないので外部から供給してあげてください」というような見たことのないエラーメッセージが表示された。ドライバを見ると確かにもう一つAC電源用の端子があり、なるほどここから追加してあげたらいいのかともう一つケーブルを探していると円盤プレーヤーを買ったときについてきたACアダプタがあるではないか。

 

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「端子の形も同じだしこれで代用できるっしょ!ワライ」

 

 

11-08-21:24(JST)

パソコンにドライバを繋いだ状態からドライバにさらにAC電源ケーブルをつないだその瞬間、パソコンの電源がフッと落ちた。

黒に染まる画面、青ざめる僕。慌てて諸々を引き抜くが時すでに遅し。恐る恐る電源ボタンを押せども静寂。数分放電して再試行するも静寂。かつてこのパソコンを死の淵から蘇らせるときに使った魔法のリセットボタンを押せども静寂。口から漏れた溜息は虚無の巨匠の口癖の音をしていた。

 

「神は死んだ」

 

 

11-08-21:24(JST)

一呼吸おいてとりあえずTwitterに投稿する。ぼけーっとしているとどうやっても再起動できない状況に対して徐々に危機感が沸き上がってきた。具体的に何が困るかなぁと考えを巡らせると一つの重大なトラブルに思い当たってしまった。

 

書き上げたレポートのバックアップを取っていない。

 

消えたらやだな~って思ってた一部の資料とか原稿とかはバックアップ取っていたんだけど、このレポート.docは数日以内にcloud latex上への転写作業が行われる見込みだったので保険をかけていなかった。何なら衝動買いした3枚の音源をインポートしたらそれを聴きながら転写作業をしようと思っていたくらいだったため致し方なかった。このような状況も判明次第逐次Twitterに投稿していると、学科の同期たちから糾弾の雨が降ってきた。

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いやまぁその通りなんですけどね。こいつら慈悲も容赦もない。

 

11-08-21:55(JST)

Twitterでピエロぶってる間に、何がいけなかったんだろうとか修理方法とかについて電子工学に詳しい人に連絡を取っていた。

調査の結果、使ってはいけないACアダプタを使っていたことが原因だと診断された。

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あろうことかUSBポートに12Vもの電圧を印加していた。

 

電気からっきしの僕でも何かとんでもない禁忌を犯してしまったらしいことは肌で感じた。思考は「電源つかないのかなぁ」という楽観から「コレは治るのか?」「治るとして、その修理費は?」という悲観へと色が落ち始めた。取り返しのつかないことをしてしまったときには惡の華の『時計』の一節が頭をよぎる。

「気高い<美徳>も<後悔>までも、みんながお前に言うだろう————死ね、腑抜けの老いぼれ!もう遅すぎる!」

阿部良雄訳『ボードレール全詩集Ⅰ』より

レポートをさっさとやろうと思った気持ちも、考えなしにコードを繋がなきゃよかったと思う気持ちも、全て時間軸の後方からシンプレックスに槍を投げてくるだけで僕はそれを受けても過去にフィードバックすることはできないのだ。長い夜が降りてくる。

 

11-09-02:11(JST)

虚無を埋めるために動画を見たりしているとこんな時間になっていた。このころは修理する方が良いか新しいパソコンを買う方が良いかで悩んでいた。とりあえずAmazonで安いやつを探していると30000円弱の中古でスペックかなり良いモノがあって「何でこんなに安いんや...???」となりながらレビューを読んでいた。

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酷評しかなくてウケる。まぁ埃や毛は掃除すれば良いとして(よくねぇ)、バッテリーが新品交換済って書いてあるのに1時間そこらしか稼働できないってどうなっているのだろうか。安いし仕方ないかなぁなどと思っている頃には時刻は4時を回っていた。

 

11-09-04:33(JST)

自分の不注意によって修理費または購入費で予期せぬ数万の支出が予定されてしまう現実を突き付けられ、近頃の散財しまくった自業自得による金欠には払いがたい金額について一時的に親に貸してもらうために相談もしなきゃかなぁとか考えていると当然眠れなくなった。

しかし突如転機は訪れる。

夜中の僕は淡い希望を捨てられずに30分に1回くらいの頻度でパソコンの電源ボタンを押しては「まぁ、つかないよな...」ってなる虚無プロセスを繰り返していたがこれが功を奏した。

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何か知らんが急に復活した。

 

かつて三日三晩の仮死状態に陥ったり、電源を認識しなくなったり、前触れなしに再起動を繰り返すようになったりと完全に狂ってしまいながらも息絶えることはなかったこのThink-Pad-X1Carbonくんは今回もまたしても大英雄ヘラクレスの如く死から蘇った*2

 

動作確認をすると、原因となったUSBポートが一個使い物にならなくなっただけで中身は全部無事だった。どうやらUSBの方でショートなりトラブルが起こっても本体にダメージが伝播しないよう工夫がなされているらしい。かがくのちからってすげー!

 

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あとは起動するたびに「USBイカれてるぞ!!!」って警告が鳴るようになっってたけどもかわいいものである(画像をよく見てもらえたら分かる通りバッテリーが認識されておらず空っぽ扱いになっている。こういう状態だと電源につないでも充電されないしこの不具合のほうが厄介)。

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こうしてパソコンサヨナラクライシスは一晩の間に解決を迎えたのだった。めでたしめでたし。

Thank you Lenovo, Lenovo forever.

www.lenovo.com

*1:物をよく失くす人あるある:物を失くしたときに「消えた」とか「なくなった」とか言う。

*2:どちらかというと死にかけなのに無理やり動かされているだけなので、不死の特性を逆用され3万年もの間毎日内臓を食われる拷問を受けたプロメテウスの方がお似合いである。

月夜見のオリジン

堕ちる太陽を嘲笑うように暗くなりたての秋の月は紅を衒う。断罪の及ばぬ遥か上空の安全地帯から、あの球体はこの球体を肴に酒を飲んでいる。

夜が支配する時間は夜そのものの時間より長い。日が昇らぬ間は問答無用の夜だが、人が起きるまでの時間もまた夜と言えるからだ。太陽が空の山を登り終えても尚起きない人間の存在が夜というものを拡張する。そんなわけで夜と睡眠の間に切っても切れない縁があることに疑問を持つものはいまい*1。さて、三大欲求に睡眠が挙げられるほどなのだから生まれてから今に至るまでその夜と睡眠に遊興を見出してきた者も少なくはないだろう。かくいう私もその一人だ。陽を見たことのない羊水遊泳の頃は常に夜であり常に眠っていたのだからその原初を忘れまいと生後1,2年のうちは腹を空かせて泣いている暇があったら眠り親を困らせ、幼稚園に入れば昼寝の王として君臨し同期の呆れを買い、小学校に入れば掃除時間に眠り社会性を捨てた。一日に平気で10時間、12時間と寝続けた少年の睡眠能力は「寝る子は育つ」という格言の証明サンプルを与えるには十分であった。

眠りは普遍的幸福の正体の一つだ。寝ている間だけは思考の鎖という不毛な枷から解かれるという点だけでも睡眠は極めて建設的な行為だと言える。浅い眠りは夢を見させてくれ、深い眠りは目覚めを良くしてくれる。金なりと言われることはあれど金そのものではない【時間】を投資するだけで益ばかりをもたらすこの活動に、魅入られるなと言う方が難しい話だ。

 

だからこそ、寝られないということは度し難い災厄である。月が眠れない人を好む理由もそこにある。

*1:昼夜逆転という言葉の意味を考えれば分かるだろうが、縁があるとする方が【道理】。例外は例外らしく弁えを知れ。

五線奏者のオリジン

少し前に文字関連の基盤についての話をした*1ので今回は音符の基盤について書こうと思う。

 

僕が音楽に寄りかかっているのは音楽に傾倒していた母の影響とその母にグランドピアノを買ってあげていた祖父のおかげに違いないのだが、音楽について何か誇ることができるのは絶対音感と2ミリくらいの耳コピ能力だけでとてもみみっちいものである。しかし好きなことには違いなく、大した演奏技術ではないが子供の頃から触れてきたピアノ、高校の部活で吹いていたクラリネット、ライブのために練習したベース、そして大学入ってからでたまに弾くようになったクラシックギターなどと横に広いが薄っぺらい音の羽根が伸びている。さて、その根底に何があるのかと考えると【楽しむこと】だと結論を得る。演奏は表現方法であるから聴衆にとってのサービスという考え方はあろうが、音楽というものは聴き手の耳に入る前に演奏者が奏でていることに始まる。演者が楽しまずして音楽は成り立たないと思う。弾いていて楽しい、あるいは誰かと一緒に演奏して楽しい、そういった感情が音楽の下地にはあるはずだ。演奏者のオリジナル曲でない場合は、もっと根底に作曲者の意匠が眠っているのだがそれを呼び起こせるのはプロじゃないと厳しいものがある。そこまでの実力がない僕のような演者は曲の【仮装】を提供することしかできない。ハロウィンが【本物に忠実であること】よりも【楽しむこと】に本質を置くのと同様、下々のぼくらは楽しまずして何とする、ということに音楽を始めなければならない。仮装のレベル上げは二の次であるはずで、その順序を誤った労働的音楽は音楽の本質を見失っていると言わざるを得ない。それに演奏というのは誰かに聴かせるためだけにあるわけでもない。観客のいない独奏というのも良いもので、夜中眠れないときに視界0の状態でピアノを弾くと得も言われない浮遊感と悲壮感を楽しめるし宇治の大吉山や奈良の若草山の眺めの良いところでクラリネットを鳴らす解放感は何物にも代えがたい。

 

今回は聴く方でなく弾く方に主眼を置いたけどそのうち聴く方の話も書くかも。